「Biz Cards」,「i文庫」などのiPhoneアプリでお馴染みの
nagisa works.さんから待望のiPadアプリ「i文庫HD」が
5/10遂にリリースされました。
作者のnagisaさんとはiPhoneCUGなどで懇意にさせていただいている関係上、初期のベータテストをはじめ、リリース前の最終版をテストする機会を頂戴しましたので
早速ご紹介したいと思います。
iPadの画面を彩る美麗なU.I.
i文庫HDを起動すると、まず美麗な本棚のグラフィックに圧倒されます。
このグラフィックを担当されたのは、これまで数々の人気アプリのデザインを手掛けられている META-GLAMOURのKamadaさん。
まさに匠の技とも云える、アップルの本家「iBooks」をも凌駕する美しさです。
「i文庫HD」の本棚画面
アプリには購入当初から230冊もの厳選された青空文庫をはじめとした書籍が登録済み。買ってすぐに名作の数々を楽しめます。
さらに特筆すべきは書籍閲覧時のページカールのギミック。
「iBooks」の場合はページめくりの動作が一定で機械的な印象を受けますが、i文庫HDはぬるぬると有機的。この感覚が使う人を虜にさせます。
(下記の動画で優美なU.I.をぜひご覧ください)
「i文庫HD」の可能性(PDFも、画像データも)
i文庫HDは「青空文庫」の閲覧だけに留まらず、まるで“羊の皮を被った狼”とも云える
恐るべきポテンシャルを秘めています。
テキストからPDF、画像(JPEGデータ)まで、書籍のように読めてしまうのです。
「Good Reader」からPDFファイルをエクスポート
さらには、複数のJPEG画像をiPadに転送~まるで写真集をめくるように閲覧できたり、好みの画像をiPadの「写真アルバム」から選択して本棚の表紙としても設定できます。
例えば、(家族やペットなど)自分だけのオリジナル写真集や自作の絵本等をマイ本棚に登録して楽しめるなど、ビジネスからパーソナル用途まで幅広く活用できるところに、
i文庫HDの無限の可能性を感じます。
より詳しい情報が nagisa works.さんのサイトで紹介されています。
・i文庫HD iPadで快適な読書を
或るサイドストーリー(i文庫HD・外伝)
ここで、i文庫HDの可能性を垣間見ることができる素晴らしいエピソードを紹介したいと思います。
i文庫HDに日本における電子書籍のあるべき未来を見た気がした私は、ある妄想が膨らみました。
それは…「i文庫HDで漫画を読んでみたい!」
そこで、普段何かとお世話になっているミステリ漫画家の野間美由紀さんに、ぜひ先生の漫画をこのアプリで読んでみたいと(無茶な)お願いをしたところ快諾いただきました。
しかし、美由紀さんはまだiPadを所有されていませんし、私は漫画制作に詳しい筈もなく、お互いどうすればいいのか解りません。
唯一解っているのは作品の画像データをページ毎のJPEG形式でいただくこと。この1点のみです。
ここから美由紀さんと私の攻防?が始まりました。
美由紀さんはプロの視点でどんどん質問や要望をぶつけてこられました。
・画像サイズ、縦横比は?
・解像度は?
・グレースケール?それともドット(モノクロ2値)?
また、i文庫HDの画面では拡大縮小もできるので
・データサイズが大き過ぎると動作が重くなる
・小さ過ぎると拡大時に粗い画になる
様々な苦労やジレンマを交えながら、
美由紀さんがMacから出力したデータをメールで送っていただき、
私がアプリに取り込んでiPadのスクリーンショットを返送する。
時おりアプリ作者のnagisaさんに質問しながら、
こんなやり取りの繰り返しが(東京-大阪間で)連日深夜にまで及びました。
そんな美由紀さんのプロ意識と心意気に私は本当に頭が下がる思いでした。
解像度とデータサイズのバランス調整しながら最適なデータを模索
データサイズが大き過ぎるとページめくりなどの動作が遅くなりました
試行錯誤の末にやっと完成したデータを改めてi文庫HDでじっくり閲覧。
i文庫HDの快適な操作感で見る美由紀さんの漫画のクオリティーの高さに私は目頭が熱くなりました…。
漫画データのより詳しい作成方法などは美由紀さんご自身のブログできっとご紹介いただけることと思いますが、今回の美由紀さんの試みは今後iPadで読める漫画を出版したい人たちにとっての指針となってゆくことでしょう。
*掲載のデータはサンプルとして特別に提供いただいたもので、現時点では配布予定は
ありません。
「28℃の扉」は白泉社から出版されている『パズルゲーム☆トレジャー』2巻に収録
されています。
(C)野間美由紀/白泉社(シルキー)
「i文庫HD」は、現状間違いなく日本を代表するiPadアプリであると感じますし、世界のマーケットにも支持される素晴らしいアプリだと思います。
既にiPadをお持ちの方、iPadを購入予定の方はぜひご自身で体験してみてください。
最後に、
GWのお休み中にも拘わらずご協力いただいた野間美由紀さん、
数々の疑問・質問に1つ1つ丁寧にお応えいただいた開発者のnagisaさんに
深くお礼申し上げます。
お二人の取り組みが今後、日本の電子書籍普及の礎となることを切に願うとともに、
本エントリーがそのきっかけのほんの小さな一片になれば幸いです。
*ご意見・ご感想など、dark_k@twitter でもお待ちしております。
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すばらしい記事です。
iPadが登場してからの日本語出版物の動向にひとつの明るい光明になる!
先日のブログで教えていただきましたが、早速今日買いました。アメリカでは販売されるか不安でしたが、日本の日付の10日、こちらの9日で既に販売されていました。
YouTubeの動画でもそうですし、Dark局長さんの外伝でもそうですが、iPadは文庫だけでなく、漫画で大きな力を発揮しそうで楽しみです。
で、簡単に解像度は? 何ピクセル×何ピクセルなのでしょう?
データサイズがでかかった(動作が遅かった)ときと、最適と感じたときのそれぞれで。
■iPad通信機能搭載モデル、ソフトバンク販売―iPadはネット・ブックのライバルか?
ブログ名:Funny Resturant 犬とレストランとイタリア料理
こんにちは。いよいよ、日本でもiPadが販売ですね。私は、WiFiで十分です。実際、iPhoneも電話以外は、wifiで使っています。外出するときにも、あらかじめeWifiというアプリで、wifiを使える場所を特定しておけば、そこで使えますので、十分です。私のブログでは、iPadが既存のネット・ブックにとって脅威になるかどうかを掲載してみました。結論としては、iPadそのものは、さほど脅威にはならないものの、今後発売される、他のタブレットPCはとってかわる存在になるかもしれないというものです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
コメント&TB頂戴し誠にありがとうございます。
>@n_tani(twitter)さん
お褒めいただきありがとうございます。
本当に今後の出版の光明になれば、と感じています。
>t-posauneさん
米国では9日付けで出たのですね。
仰るとおり、i文庫HDは青空文庫閲覧以外の部分で
より威力を発揮しそうです。
>美崎薫さん
詳しい情報が、野間美由紀さんのブログ・Miyuki’s Diaryに
掲載されていますのでそちらをぜひご覧ください
http://studio-rose.weblogs.jp/diary/2010/05/ipadに漫画を表示i文庫hd.html
>yutakarlsonさん
ブログ記事興味深く拝見させていただきました。
私も一部同意見ですが、iPadの凄いところはハードウェアではなく
あくまでもソフトウェアとその思想なのだと感じています。
素晴らしいエントリですね!
未来を感じました。
野間さん素敵すぎます!
あー、iPad欲しいなーw。